原題:ひぐらしのなく頃に 誓 公開:2009年日本 時間:108分 分野:サスペンス 原作:同人ゲーム/竜騎士07「ひぐらしのなく頃に 解 第二話~罪滅し編~(上) (講談社BOX)」 製作:熊澤芳紀,湯浅昭博, 長谷川洋 入江祥雄,安田正樹,小西啓介 浦野重信,喜多埜裕明 監督:及川中 出演:前田公輝,松山愛里,飛鳥凛 あいか,小野恵令奈,田中幸太朗 三輪ひとみ,谷口賢志,渋谷正次 矢部美穂,大高洋夫,菅原大吉 大谷俊平,川原亜矢子,大杉漣 脚本:及川中 撮影:鍋島潤裕 音楽:川井憲次 評価: 「ひぐらしのなく頃に 誓」あらすじ:昭和58年夏.某県鹿骨市雛見沢地区.前原圭一(前田公輝)は東京からこの寂れた集落に越してくる.そして知恵留美子(三輪ひとみ)が教師を務める小中全学年あわせて15人の分校で,同学年の竜宮レナ(松山愛里),委員長で最上級生の園崎魅音(飛鳥凛),下級生の北条沙都子(小野恵令奈),古手梨花(あいか)と共に毎日を謳歌していた.レナには父の竜宮保典(菅原大吉)が母の礼子(滝沢涼子)に捨てられた過去があったが,父に間宮律子(矢部美穂)という恋人が出来てから悩みの種が増えた.また沙都子は偶然叔父の北条鉄平(大高洋夫)と再会してしまう.一方,「入江診療所」の医師・入江京介(田中幸太朗)は圭一に沙都子の兄の悟史に関する奇妙な話を語る.更に診療所の看護師・鷹野三四(川原亜矢子)と恋人でフリーカメラマンの富竹ジロウ(谷口賢志),更には刑事の大石蔵人(大杉漣)と熊谷勝也(大谷俊平)が雛見沢連続怪死事件を探っていた.■ 原作は同名の同人ゲームからメディアミックスの波に上手く乗り,漫画化,アニメ化などを経て2008年映画化に至った.残念ながら原作を知らないものの,及川中が監督した第一作は「吉祥天女」を無茶苦茶にした及川中らしい惨憺たる出来だった.更に演出が下手なことも災いして俳優陣までもが下手に見えてしまう.「口裂け女2」での飛鳥凛が良かっただけに期待していたもののがっかりした思い出がある.例えば黒澤清作品の評価は最終的に演出の好みの問題などに収束していく.しかし及川中は「好き・嫌い」以前の問題で,演出が「上手・下手」という段階の問題だ.低予算という言い訳は効かず,これまで「下手」な駄作を連発し続けている.超低予算でも工夫すれば面白い作品が撮れることは歴然としているのだが,及川中に関して言うなら低予算相応の画がぎりぎり上限という点が辛い.そして残念ながら本作は得意のホラー調で誤魔化した前作以上に演出が酷い.■ 純粋にキャストの話からすると,残念ながら本作でも前作の学芸会演技をそのまま踏襲している.若手俳優陣は北乃きいや夏帆などと同世代の1991年世代の前後だ.この世代は両頭が傑出している一方,映画の世界ではそこから先はドングリの背比べだ.ただ本作を見るとそれぞれの演技力の差が如実に出てきているような気がする.例えばヒロイン役レナを演じた松山愛里はオーバーアクト気味で台詞も仰々しく,どちらかと言えばTVの2時間サスペンスドラマを思い出させる.TVドラマはいいとしても映画向きではない.一方,梨花を演じたあいかが髪型と言いビジュアルとして一番映えるが,実は演技が一番下手.というより「あるがまま」を信条とする監督は演技指導をしていないためか.背景に回った時に一人眼が泳いでいたり,その場にそぐわない表情をしていることが多い.終盤一カ所台詞が決まる場面があり,ここは好印象なので真っ当な監督なら伸びる可能性はある.■ 沙都子を演じたAKB48の小野恵令奈は平凡な「普通に可愛い女の子」という印象で,逆に言えば存在感がない.四人の女優陣の中では唯一おそらく今後映画界でやっていけるかもしれない飛鳥凛は本作でも傑出した演技はない.足下をすくわれなかっただけ相対的にましという程度.映画ファンとしては三輪ひとみ目当てになるだろうが,終盤があの立ち位置なのがとても残念だった.また本作から大石刑事役は大杉漣になったが,杉本哲太の地味さの方が良かった.矢部美穂はTVドラマから抜け出せず,大高洋夫のヤクザ演技はあまりに下手すぎる.演出は「吉祥天女」と同様に映画冒頭の映し方で想像がついてしまう通り素人同然だ.舞台の描き方も「吉祥天女」の時と何ら変わっていない.基本的にカメラワークが一本調子で退屈なのだ.たまに変わったことをするとカメラを傾ける程度.またミステリアスに見せるためすぐにスモークに頼る安易さにも苦笑する.以下ネタバレ.■ 前作と比べて時間軸が動いておらず,原作はパラレルワールドものとして創られたのだろう.人物設定などを新たに考える必要がなく創作として楽な手法だが,おかげで閉塞したセカイ系の雰囲気は出ている.主人公の周囲は女性ばかりというハーレム系の設定も加え典型的な現代オタク男子向け漫画・アニメーションの文法にそった物語だ.逆に言えば物語の発展性はなく,どこかで見た物語を繰り返すため退屈で,前作と同じ登場人物の上にありがちな物語を「着せ替え」のようにはめ込んだようにも見える.鷹野が山中のレナをどうやって発見できたのかなど謎も多い.更に殺されかけた留美子が助かった時点で何のための三輪ひとみだと思う.屋根の上でのナタと金属バットの戦いも迫力がない上,あのガソリン風船爆弾とキッチンタイマーの時限装置は流石に失笑した.警察突入の場面も下手で,狙撃場面を含めて話がグタグタ.もし次回作があるなら監督は変えるべきだ. 第一作「ひぐらしのなく頃に」
投稿日時: 2009-05-08 07:23:21 【ブログへ行く】